ナイトビジョン

ナイトビジョン

ナイトビジョン (光増幅式ナイトビジョン)

ナイトビジョンとは、夜間(若しくは光の少ない状況下で)周囲光(月や星の光、夜光等)を増幅して視界を得る機器です。 光増幅式ナイトビジョンとも言います。 そのわずかな光を増幅する能力には差がありそれを世代 "Gen." として区分しています。 世代には第1世代から第3世代(第4世代)まであり数字が上がるほど暗視性能(光の増幅力)は上がります。

この世代とはその製品にどのタイプの光増幅菅が使われているかによって決まります。 この光増幅菅(The image intensifier tube) こそがナイトビジョンの 心臓部であり、もっともお金がかかるところです。

第0世代 光増幅率:100倍

歴史上、最初のナイトビジョンです。 第2次大戦でドイツ軍やアメリカ軍などが開発し実戦にも投入されました。   (現在は存在していません。増幅率の参考として記載)

第1世代 光増幅率:1,000倍

第1世代はナイトビジョンの中で世界的に最も人気のある世代です。 基本的な原理を使用することによって第1世代でありながら周囲光を最大数千倍まで増幅させ視界を確保します。 この世代は基本性能と価格のバランスが取れた非常に人気のあるモデルです。 ただし下記述のような点もあります。

電源を入れた直後、画像がチラついたり、ノイズが発生する場合がある。

視野の周辺部がボケたり歪んで見える。 幾何学歪みと呼ばれるものです。

視界内に黒い点(Black Spots)がある。

電源をオフした後でもグリーンライトがしばらくの間つづく。

これらは第1世代特有のもので異常ではありません。

第2世代 光増幅率:10,000~20,000倍(高位機種)

第2世代は主に警察当局や専門的用途で使用されています。 価格的には第1世代に比べ千数百ドル以上高くなります。  第1世代と最も違う点は一般的にMCPと呼ばれるマイクロチャンネルプレートが追加されていることです。  MCPは電子増幅装置として光電陰極の裏に直接取り付けあります。  MCPは数百ものガラス短管を束ねたものから構成されています。 電子がこれらのガラス菅を通り抜ける際、さらに多くの電子を放出します。  このプロセスの追加により第1世代よりよりクリアーでシャープな画像を得ることができます。   ノイズやブラックスポットも第1世代より軽減されいます。  購入際して、製品によっては使用目的証明書が必要となる場合があります。

第3世代 光増幅率:30,000~50,000倍(第4世代)

第3世代 ガリウム砒素(gallium arsenide)と呼ばれるセンシティブな化学物質を光電陰極板に使用することによって、第2世代よりさらに明るくシャープなイメージを提供します。 また、イオンバリアーフィルムにより増幅菅の寿命を延ばしています。 極めて少ない光量下でも完璧な視野が得られます。 第3世代は米軍で使用されています。  個人・法人の方は購入はできません。 市町村や警察組織等の官公庁(公的機関)のみ購入が可能です。 (NPO法人でしたら輸出許可が下りる可能性もあります。)

ナイトビジョンの原理

intensifier

① 対物レンズ (Front Lens)
② 光電極管 (Photocathode Tube)
③ マイクロチャンネルプレート (Microchannel Plate)
④ 高圧電源供給 (High Voltage Power Supply)
⑤ 燐光体膜 (Phosphours Screen)
⑥ 接眼レンズ (Eyepiece)

暗視ビジョンは数種類のメイン部品から構成されています。 ①対物レンズ、②光電極間、③光増幅菅とその④電源供給などです。 暗視装置は星明り月明かりもしくは赤外線などの周囲光を集めます。 光子となった光は③光電陰極菅へ送られ光子から電子へ変換されます。 そこで電子は電気的化学的な工程を経てその数を劇的に増やします。 増幅された電子は目視可能な光として⑤燐光体膜に映し出されその映像を⑥接眼レンズで見る仕組みです。 増幅された映像は緑色に見えます。 ホワイトフォスワー(White Phospher)搭載器は白螢色に見えます。

ATN MK350
第1世代の実際の写真 (IRなし、深夜事務所、周囲光ほぼ無し。*画像加工なし) 第1世代の暗視性能に対する評価は人それぞれです。 思ったより良く見えると言われる方もいらっしゃれば、全然見えないと言われる方もいらっしゃいます。 写真でもわかるように第1世代には視野 周囲分に幾何学歪みとよばれる歪みとボヤケが見られます。 第2世代以降の製品にはこれら症状はかなり緩和されています。

この写真の第1世代は珍しくブラックスポットもほぼありません。 IRを点けるとこれよりかなりも明るく見えます。 因みに第2世代(特に高位機種)の暗視性能に対する評価はとてもよいです。  お客様からの口コミを見る

光増幅型ナイトビジョンの主な特徴

優位点:-

 視野全体が明るく見える

 細部までよく見える

 操作が非常に簡単

 価格帯が安価な物から高額なものまで豊富


劣位点:-

 最低でも月明かり、星明り、夜光などある程度の周囲光が必要(IRを使用すれば完全な暗闇でも見える)

 霧や煙に弱い。 濃い煙を通して見ることはできない

 IRを使用すると他者のナイトビジョンから発見される

 完全な暗闇での視野確保はIRの性能に左右される

 ブラックスポットという黒点がある


テクノロジー